私的ライブレポート:赤い公園ラストライブ「THE PARK」 2021年5月28日

ついに、この日が来てしまった。

「赤い公園」というバンドは、このライブをもって解散する。

昨年、リーダーの津野さんが亡くなってしまって、残されたメンバーが決断したことだ。

涙無しでは観られないとわかっていた…だけど同時に、こんなに清々しい気分になれるとは。

それほどまでに、素晴らしいライブだった。



ステージの様子

ライブの配信動画には、会場の映像がうつしだされる。ホールらしい上品な幕がステージを飾っていた。

お客さんの後ろ姿がちらりと見えたけど、いつもと全然客層がちがう。

いつもは音楽フリークっぽいオジサンが多めなのに、今日は若い子がいっぱいいた!(笑)

たぶん、初めてワンマンを観る人も多いんだろうなぁ。

実は私も、去年の大阪のワンマンのチケット持ってたんやで。その時は中止になって残念やったけど、まぁまた次リベンジしてくれるやろ~と呑気なことを思っていたよ。それがもう、二度と観れなくなってしまうなんて。

なんだかいろんな思いがめぐって、始まる前から頭がかーっと熱くなってしまった。

津野さんのギターも音を響かせて

今回はサポートギターとして、Base Ball Bearの小出祐介さんが出演している。小出さんは、赤い公園のボーカルが脱退したあと、新たなボーカルとして石野さんをメンバーと引き合わせた張本人。切っても切れない縁なのだ。

その小出さんが持っているギターは、なんと津野さんのギターだった。オールローズのストラトキャスター。なお、津野さんは「べんぞう」と名前をつけていたらしい。

べんぞうも、この晴れ舞台で音を鳴らせて嬉しかったろう。もうその時点で私は涙で画面がよく見えなくなっていた。

新旧の楽曲をおしみなく!

最初に演奏される曲が「ランドリー」なのには驚いた。だいぶ初期の頃のだね。赤い公園のヒストリーを感じる。

その後は「消えない」「ジャンキー」「Mutant」「紺に花」と、これ聞きたかった!待ってました!!という曲目がならぶ。最新アルバム「THE PARK」の曲がいっぱい。

こういう曲達って、ライブツアーでどんどん育っていくものだと思っていたけど、お客さんの前で初披露するとは思えないほどの仕上がりっぷり。

特に石野さん(※)の歌唱がすごい。配信チャットでは「石野さん仕上がってんなぁ~!」という声が多かった。

※ちょっと前までは理子ちゃんと呼びたい感じだったけど、すっかり素敵な大人になられて、最近では「石野さん」呼びがしっくりきている。

なお「紺に花」はピアノが印象的な曲で、ここでサポートキーボードの堀向彦輝さんが登場。なんと、キーボードをお客さん側のほうにナナメに倒した状態で弾いていた。かなり弾きにくいはずの態勢だけど、パフォーマンスとしてすごい。最後のアウトロのピアノでは、石野さんが一緒にピアノを弾くふりをしていてとても可愛かった。

ツインギターなど、普段は観れない編成も

「CANVAS」という曲では2人目のサポートギター、tricotのキダ・モティフォさんが登場。

この曲は、先日ビバラロックという春フェスで、縁のある音楽家が演奏してくれたことも記憶に新しい(※)。

※もともと津野さんは、ビバラロック限定バンド「ビバラロックアンセムズ」の一員だった。以前、津野さんの推薦でアンセムズのボーカルに選ばれたアイナ・ジ・エンドさんが、今年は他のアンセムズのメンバーとともにこの曲を披露した。

今回は、小出さんとキダさんのツインギターのハーモニーが聞けて、「こんなこともやってくれるんだ…!」と大感激。

「CANVAS」が終わると、小出さんがいったんここで抜けるとMCが。「中抜けです。ちょっとバイトいってきます」と冗談を言っていた。他のメンバーは「小出さん何のバイトしてるんだろう…ポスティングかな…」と想像をめぐらすも、「長くなるので次いきましょう!」としっかり仕切る石野さん。

絶対的な関係→絶対零度の曲つなぎ

次に始まったのが「絶対的な関係」だったのだが、その次の「絶対零度」へ行く曲のつなぎ演奏が好きすぎて見出しにしてしまった(笑)

「絶対的な関係」はボーカルが変わる前の曲だけど、しっかりと石野さんのものにしている感じがした。

ここのセクションの曲達も目が離せないものばかりだった。とくに「風が知ってる」「交信」「pray」が感動的だった…。どれも大好きだし、赤い公園にとっても大切な曲だと思う。

「pray」については別の記事→2020年の総まとめ!私的ベストソング7選+αでも書いたけど、「君が好き」という言葉がこんなに素直に響いてくる曲なんて、そうそうない。

シンプルな3人編成「さんこいち」に

ここで、赤い公園メンバーのみの3人編成に。ドラムのうたこす(歌川さん)がギターをもっている。高校生の頃にギターボーカルで舞台にたったことがあるらしい。その隣には、津野さんが高校生の頃からずっと一緒だった「白田トミ子」という名前のギターが。

この編成で数曲演奏されたが、特に私は「Highway Cabriolet」のアレンジが気に入った。実はこの曲、最初に音源で聞いたときにはあまりピンとこなかったのだけれど…このライブを機に、聞き方が変わってくるかも。こういう事があるから、ライブや音楽って面白い。

「Yo-Ho」ではお客さんに「指紋がなくなるまで!」「リズムしっかり!」と、スパルタ式でクラップを要求(笑)この曲では普通のベースではなく、シンセベースを鳴らしているのも興味深かった。

メドレー形式を経てラストスパート

3人編成が終わると、サポートギター2人が再登場。「沢山の曲がやりたいから」と、今度はツインギターでメドレー形式!

「こんなこともやってくれるんだ…!」再び。まさか「西東京」が聞けるとは思っていなかった。

メンバーもそうだが、サポートの面々もガッツリしっかりここまでやってくれるのはすごい…愛を感じる。

メドレーが終わって早々、「KOIKI」「NOW ON AIR」「yumeutsutsu」「夜の公園」と、絶対聞きたかった!!という曲がズラリとならぶ。本当にええ曲だらけじゃない?すごいな赤い公園。

なお、「夜の公園」では配信チャットで「47歳のおじさんでもキュンキュンする」というコメントがあり、そこからは雪崩のように年齢を発表しあっていた。10代から50代まで幅広い。(30~40代が結構多かった気がする)

最後の曲の前に、各メンバーから話が。藤本さんは最後まで不思議な感じのお話だったので、私は思わず「よくわからんが、ありがとう!」と配信チャットにコメントした(笑)。うたこすは、途中で下を向くことがあったりして、胸がキュッとなった。石野さんは本当にしっかりしていて、改めて赤い公園に入ってくれてありがとうという気持ちになった。

アンコールは、ハッピーなあの曲で締め!

アンコールは3曲!いっぱいやってくれたね。「KILT OF MANTRA」「黄色い花」「凛々爛々」どれも前向きになれる曲で。最後、明るくてハッピーな曲なのがすごくよかった!!

ここで、今回のセットリストを振り返ってみようと思う。

セットリスト

1. ランドリー
2. 消えない
3. ジャンキー
4. Mutant
5. 紺に花
6. Canvas

7. 絶対的な関係
8. 絶対零度
9. ショートホープ
10. 風が知ってる
11. 透明
12. 交信
13. pray

~3人編成~
14. 衛星
15. Highway Cabriolet
16. Yo-Ho

17. メドレー(今更・のぞき穴・西東京・ナンバーシックス・闇夜に提灯)

18. KOIKI
19. NOW ON AIR
20. yumeutsutsu
21. 夜の公園
22. オレンジ

▼アンコール
1. KILT OF MANTRA
2. 黄色い花
3. 凛々爛々

もう、これ以上はないんじゃないかっていうくらい出し切ったような。見事にゴールのテープを切った、そんな感じ。

なんて気持ちがいいんだろう。とても清々しい。ほんと、あんたら最高だよ!ありがとう!!

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