私的ライブレポート:フレデリック武道館 有観客&配信ライブ「ぼくらのASOVIVA」 2021年2月23日

私は今までたった1度だけ、日本武道館にライブを観に行ったことがある。2015年のことだ。

彼らはずっとこの場所でライブをしたいと目標をかがげていた。インディーズ時代に見知ったバンドが、ついにこの地で…!と、感慨もひとしおだった。

当日はめいっぱいはしゃいで、ライブ中は楽しさでいっぱいだったが、九段下のホテルに戻って落ち着いたら、急に涙が止まらなくなって眠れなかったのを覚えている。

やっぱりここは、特別な場所なんだと実感した。

実をいうと、その時くらいから「次に私を武道館に連れてってくれるのはフレデリックだ」と思っていた。

待ち望んでいた日…本来なら関西から飛んで行くはずなのだが…まさかこんな状況になろうとは。行きたくても行けないなんて。

無念だが、ライブ配信の機会をくれたのでそちらを観た。観たら余計に辛くなるのでは…とも思ったが、結果「このライブはぜひ心に刻んでおかなければ」という気持ちになったので、今こうして筆を執っている。



武道館ライブ、はじめます

開演30分前。ライブの動画配信サイトでは、「Wake Me Up」をBGMにグッズ紹介の写真が流れていた。配信を見ながらチャットができるようになっている。

開演と同時に、武道館のカメラに切り替わる。ステージには、つみ木のようなクラフト(武道館を模している)が置いてあり、MVにも登場していた「wakeme」というキャラクターがステージに立っている。

オープニングの映像が流れ、本編のライブへ。前述の「Wake Me Up」から始まり、「シンセンス」「逃避行」「KITAKU BEATS」と飛ばしていく。

もはや懐かしい。この曲達、随分昔にライブで聞いたなぁ…。もう1年以上、生ライブには行けていない。


ここでMC。お兄ちゃん(三原健司・Vo)がええこと言うてた。

「喋っちゃダメとか、距離をとるとか、コロナ禍で色んなルールができたけど…ここでひとつ、自分達のオリジナルルールをひとつ追加してみたい。」

「自分がお客さんとして武道館公演を観たときに、懐かしい気持ちを思い出した。ここは自分だけの思い出を重ねることができる場所では。思い出を感じたり、今日を思い出にして『あなただけの遊び場をつくる』ことを追加したい」

そんな内容だった。

今しがた懐かしさを感じていたので、リンクした気がした。このやりきれない気持ちも思い出になるのかなぁ…。

一転、皮肉が刺さるディープな曲目へ

軽快なテンポのナンバーが続いたあとは、ちょっとディープな曲目群が。突然はじまった「まだ帰る汽船」は、宇宙とライトの演出が綺麗。「ふしだらフラミンゴ」では3D映像のフラミンゴがうじゃうじゃ(いすぎ・笑)。曲の終盤では、魚がビュンと横切ってそのフラミンゴをかっさらっていった。

この魚、もしやピラニアでは…?と思っていたら案の定、次の曲は「他所のピラニア」。「正義のピラニア 欲望のままに」という歌詞に皮肉を感じる曲だ。そう、正義ってやっかいなのだ。

で、その正義つながりかどうかは分からないけど、次の曲は「正偽」。こちらも皮肉が効いた曲。珍しく康司さん(三原康司・Ba)がシンベ(シンセベース)を弾いていた。シンベ最近流行ってるね~。そして途中、マイクを通して声にエフェクトをかけながら康司さんが一節歌う場面もあった。


ここで各メンバーがMC。

赤頭(赤頭隆児・Gt)「3日前、三原兄弟(ベースとボーカルの三原兄弟は双子ちゃん)の誕生日で…今年はめっちゃ高価で派手なドルガバのマスクをプレゼントしました」

康司「いままで武道館で色んなアーティストを観てきて…いざ自分がとなると感慨深い」

健司「康司の曲が連れてきてくれたんですよ」

康司「泣くやん(笑)」

武(高橋武・Dr)「フレデリックのライブを、それぞれとれる形で楽しんでくれてありがとう!ツアーで見た表情とか、SNSのちょっとした言葉に救われた1年でした。」

(ちなみに武さんは、三原兄弟にミラーボールをプレゼントしたらしい)

舞台はアコースティック編成に

ここで舞台が変わり、アコースティック編成に。
「ミッドナイトグライダー」はこの編成でのアレンジがいい感じに映える曲だった。

あとはおなじみ「うわさの煙の女の子」。この曲は「パイプの中から 煙がもくもく」という歌詞がある。数年前ライブに行ったとき、私が気まぐれで最初の「パ・イ・プ」「け・む・り」だけ口パク(声には出してないよ!)してたら、それを気に入ってくれたのか以降そのまま歌ってくれるようになった。ありがとね!

2曲が終わると、元のバンドセットのドラムで長めのソロがはじまった。

他のメンバーの準備ができたところで、「まちがいさがしの国」。これもすっかりおなじみとなった感があるのだが、この曲は炎が吹き出す演出がセットになっている。今回もそれで、いつもより炎が多めで豪華になっていた。

背景にはゴールドのつみ木ような映像があったが、次の「TOGENKYO」では、つみ木が色とりどりのTOGENKYOカラーに。このアルバムは名盤だったな…この曲を初めて聞いたときの感想をラジオ番組に送って読んでもらったな…など色々思い出してたら、画面の前で自然と両手を合わせていた。ちょっとおかしい?(笑)でもなんだか泣けてきた。

長めのギターソロで茶目っ気たっぷりの赤頭先生が見れた「スキライズム」を経て、「オンリーワンダー」ではいつも自然とみんながシンガロングするパートの前に、健司さんが「(歌うのは)俺にまかせといてな」と頼もしいひとこと。このひとことが良かったな。

そろそろお開きか…そんなムードを感じると、ここで私の中から「おめでとう」の言葉が自然と出てきて、そのままチャットに投稿した。

暗転後、健司さんのMC。楽しみ方がどんどん変化していく世の中でこちらもひたすら考えたこと、昔母親に言われた金言のことを話しながら、ラストナンバー「されどBGM」が演奏された。

ここで予想外の出来事が

おお、終わった…と思っていると、自分のスマホから通知が…ちょっと見てみると、冒頭で説明した「wakeme」というキャラクターの公式LINEからの通知だった。

※フレデリックの公式LINEで遊べる「武道館クエスト」というゲームをクリアすると「wakeme」の公式LINEをゲットできる。ちなみに他の4人のメンバーの公式LINEもあるぞ。(期間限定のLINEアカウントらしい)

実際のLINE画面は↑こんな感じ。めっちゃ喋るやん(笑)

ほどなくこのLINEトークの内容が、武道館のステージにも映し出された。主に配信で見ている人向けのリアルタイム演出だ。(現地参戦の人はスマホの電源を切ったりマナーモードにしているから、終演後に気づく人がほとんどだろう)

有難いことに、今回の公演はアンコールの最後までバッチリ配信を流してくれるらしい。

アンコールは、とっておきの新作

アンコールを受けてメンバーが演奏したのは、まっさらな新曲。「サーチライトランナー」という曲らしい。

ポジティブな曲調で、颯爽と駆け抜けるポップナンバー。「間違ってなかったんだ」というフレーズが印象的だった。

この曲については後日、追加で嬉しいお知らせがあるとのこと。(予想だけど、なにかしらのタイアップかなぁ?)

そして次はおなじみの「オドループ」。楽しそうな会場のお客さんの様子がちらりと映る。カメラにむかって赤頭先生がおどけた顔でピックを投げてくれた。

最後に映像でメンバー紹介とスタッフロールが流れた。

これで終わり…と思いきや、グッズ紹介の写真でも登場した2人の子ども達がゲームをしている様子が映像で流れ、さらなる新曲が演奏される。こちらは「名悪役」という名前らしい。

背景に歌詞が映し出されたが「思い出にされるくらいなら二度とあなたに歌わない」という、おっ!?となる内容もあった。さっきの思い出云々のMCは布石か…?

なんだか色んな感情がぐちゃぐちゃになってしまった。でも、思ったより悪くないかもしれない。

たぶん、主催の計らいのおかげかな。ただでは終わらないのがフレデリックだな~と感じた。

この複雑な感情を上手く表現できないけど、今の気持ちとしてそのまま書き留めてここに刻んでおこうと思う。

セットリスト

武道館で遊びきったフレデリックのセットリストはこちら。

フレデリック武道館公演
セットリスト

1.Wake Me Up
2.シンセンス
3.逃避行
4.KITAKU BEATS
5.トウメイニンゲン
6.リリリピート

7.まだ帰る汽船
8.ふしだらフラミンゴ
9.他所のピラニア
10.正偽

~アコースティック編成~
11.ミッドナイトグライダー
12.うわさのケムリの女の子

13.まちがいさがしの国
14.TOGENKYO
15.スキライズム
16.オンリーワンダー
17.されどBGM

▼アンコール
1.サーチライトランナー(新曲)
2.オドループ
3.名悪役(新曲)

以上!
フレデリック、武道館完遂おめでとう。

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